Day8 – 写真

わたしが初めてカメラを意識的に使い始めたのは確か小学校4年か5年のころ。父親から誕生日プレゼントにオリンパスのOM-10をもらったことがきっかけ。当時の本多少年には「鉄道」という写真と相性抜群の趣味があり、自宅から10分ほど歩けば撮影に丁度いい小田急線の線路があり、ということでそこからしばらく今で言う「撮り鉄」をやっていた(乗り鉄でもあった)。おそらく同じ年代で一眼レフを使っている知人はひとりもおらず、また、コンパクトカメラでさえ小学生が持つということには違和感しかなかった時代だったと思う。

翻って今。スマホ、タブレットと言う名のカメラが家中に転がっていて好きあらば写真も動画も撮りまくっている。今日の夕飯時にも「Daddyをタイムラプスで撮るの」とHannahが言って、iPadを取り上げようとする親をうまく静止させていた(させられたのはわたしだけど)。一昔前のデジイチよりも、そして本多少年が胸をときめかせていたOM-10など比ではないほどスペックの高いカメラがそこら中に転がっていて、直感的に操作できて無限に撮れる。Google Photoに突っ込めば勝手に判別されて便利に検索できる。なんなら加工だってワンタップである。30年ちょっとでこれだけ時代は進むんだな、と、ついつい遠い目になる。

今の子ども世代にとって、写真はどういうものになるんだろう。来るか来ないかわからない瞬間を待って、フィルムを巻く、ストロボのスイッチを入れる、そういうのも絶滅危惧種と言うか、「絶滅危惧仕草」的になっていくのね。文化財として保護しよう。そうしよう。