大学の教員として、2026年度に向けて

少し前に2025年度の全講義が終わった。今年度は開講タームが変わったものの、例年通り「広告発想論」を先に、「広告制作」を後にやる構成。前者は講義中心(ただしチャットが常に活発)、後者は演習とフィードバック中心になっている。2026年度も何もなければこの2コマを担当することになると思うんだけど、2024年度と2025年度で既に全く違う講義になったし、来年度はさらに変わるだろうなと。書いておかないと忘れちゃうので、今の考えを残しておく。


広告発想論:スポーツ大会は来年度も開催します

この講義は、本多が見てほしいと思う良質な広告事例をみんなで見て、その場で「どう思うか」「どこが良いと思うか」をアウトプットしてもらうもの。ツールはZoomのチャット。多いときで履修者200人弱、うちアクティブに参加しているのが最大100人くらい(どちらもちょっとずつ減っていくけど)。

大切にしていることが3つある。まず、自分が生きていない時代の広告の歴史に触れること。次に、自分自身が笑ったり泣いたり感情が動いたときに「それはなぜなのか」を捕まえて言語化すること——これは制作者になったとき、そのまま企画力に直結する。そして、なにより「すぐ」アウトプットすること。持ち帰ってあとでGoogle Formに投げるなら誰でもできるし、広告のタイトルをAIに投げればほぼ終わる。この講義で鍛えたいのはそういうことじゃない。

どちらかというとスポーツみたいな感覚で捉えている。そうそう、スポーツなんですよこれ。来年度もスポーツ大会が行われます。


広告制作:AIの進化と講義設計のせめぎ合い

広告制作は2024年度まで宣伝会議賞(コピーの公募賞)をみんなでやっていた。けど2025年度から内容を大幅に変えている。理由はいくつかあって、開催タイミングが変わり3Qでやるのが微妙になったこと、講義設計上3Qは講義に、演習は4Qに置きたかったこと。そしてなにより、2024年度の段階で「明らかに全部ChatGPTだな〜」と思う提出物が僅かに混ざっていたこと。これはもう人間が考えることじゃないかもしれないし、少なくとも教育目的の講義で使う題材としては違うかもしれない——そう思って、2025年の年始から新しい内容を検討していた。

で、2025年度に取り組んだのがMetro Ad Creative Awardと朝日広告賞。どちらもロジカルな構成力と、それを上回る「ワンビジュアルでのワクワク」が求められるやつ。シラバスを書いていた時点では秋にGenerative AIがどこまで来ているか予想もつかなかったんだけど、結果としては異常なスピードで進化していた。ほとんどの学生のビジュアルアウトプットには❇️マーク(Gemini/Nano Banana)がついていたし、企画書の多くもAI構文的なものだった。逆に、AIを使わず自力で書いている学生のテキストには異様な愛らしさがあった。


2026年度、どうしましょうか

講義の内容もさることながら、自分自身の仕事のプロセスも根本的に見直しを迫られている。しかもそれが毎日更新される。正直シラバス書けねえよ、って感じ。

ブリーフを適切に読んで課題を理解する。目標と方向性を設定してアイディエーションする。企画書にまとめて、場合によってはプレゼンして説明する。——そのプロセスのほとんどが、今やAIによって高品質に再現できてしまう。しかも「高品質」を担保するための参照用の「脳」を選べるような状態なので、つまりこれは「どんなプロンプトとやりとりを経れば良いアウトプットが出るか大会」になっている気すらする。その先のプロダクションワークだって同じ話で、撮影や編集はいつまで人間がやるんだろうとか思ったりもする。

悲観的になっちゃったけど、こうやって自分とAIの差分を日々考えて整理しておかないと、ほんと「気がついたら死んでた」みたいになりかねないので。結論は出ていない。でも書き綴っている。

さあ、わたしは今年何をして、何をみなさんと学ぶんでしょうね。いくつかアイデアはあるんだけど——乞うご期待であります。